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マイナススタートでもなんとかなるもんです

訪問介護員(サービス提供責任者)小林 広美

特養の介護現場を経験し、今は訪問介護のサービス提供責任者。業務・サービスのマネジメントをきっちり行いながら、休日はご主人さんと仲良しこよし。この若さ・容姿で、おばあちゃん?!

正直仕方なく家計を支えるために就職した。というのが本音でしょうか。

私がこの仕事に就いたのは36歳のとき。上の娘が双子の高1、真ん中の娘が中2、末っ子の長男坊が小4。それまでは7年ほどパートで家計を支えていましたが、しかしこれでは近い将来うちの家計が破綻する!と家族会議を開き、正社員の道を模索。ハローワークで求職活動行うが現実は厳しく、私のスキルで正社員の職業となると介護の仕事でした。もともと人づきあいの苦手な自分。しかも人と関わる仕事、正社員で働くという責任、不安も不安。でも介護は将来必ず自分の身に起こってくることと言い聞かせていました。

安定経営、真面目なイメージの敬仁会

とりあえず資格がなくてもOKで、収入が安定している敬仁会に入社させていただきました。実際働いてみると、私より若い職員がたくさん働いていたことにびっくりしました。しっかりと一人の職員が年上の私について何ヶ月も丁寧に指導下さりました。
小学生の息子が体調不良時には職員のバックアップ体制が整っており安心して休みを申し出ることができたのには本当に助かりましたね。
なんだかんだで10年が経ちましたが、介護の仕事は意外と自分に合っていたのかなと思えるようになりました。
しかもこの少子化のご時勢、介護はひとごとではなく自分に起こることです。仕方なく介護の仕事に就いた私ですが、今ではこんな将来に役に立つ仕事を学んだことにより自分に起こりえる介護の実情も知ることができ、対応できるスキルが身についたと思えています。またしっかりと足に地に着いた仕事ができ、家庭の地盤も安定しました。

私が仕事に取り組むとき

「自分に置き換えて考えよう。これしんどいから、どうやったらお互いに楽になるだろう、楽しくなるだろう」
と考えるようにしています。お互いに楽々介護を目指す。それが私の思いになりました。今の自分の言葉・行動が本当にその人に優しいかを心に留め、関わった方々や自分もよかったと思えるよう寄り添っていきたいと考えています。
特養で、その考えをもとに実践を重ねているうちに「小林さんがいると、安心して休めるわ」「小林さんか、うれしいわぁ」と自分の介護を信頼してもらえていると感じることが増えてきました。その実践は、今の訪問介護での仕事でも続けています。

そんなこんなで介護の仕事を続けてこれていますが、最初の1、2ヶ月は気持ち的にしんどかった。なれない人間関係や介護技術に四苦八苦し、コミュニケーションもやはり認知症の方も多く一方通行に感じて。そんな折に、昼食時に急に不穏になられた利用者を追いかけて対応をしていたら、当時の先輩職員が今はそんなときじゃないでしょ、まだそんなこともわからないのという冷たい感じの雰囲気でほっとかれて「あぁこんな感じだったらもう嫌だな。やめちゃおうかな」と自分には向いていないなと思って。
そんなときになんとさっそうと現れた王子様職員が「この人は今はこうだけど、少ししたら落ち着くから大丈夫」と対応され助けてくれました。
若いのに周囲の雰囲気に惑わされず人として大事なことがぶれない職員だなって、この職員の行動がなかったら介護は続けてなかった。今でも同じ事業所にその職員の方はいるけど本人はまったく覚えていないと思います(笑)

介護の仕事を考えている方へのエール

まったくゼロからの、なんなら後ろ向きのマイナススタートでもなんとかなるもんです。年をとっているからとか、不安だという気持ちはあって当たり前。きれいごとでなくっていいんです。それが生活のためでもいいんです。私だって、ほんま合わんかったらやめてもいいと考えていましたから(笑)
しっかり人として向き合うことが出来れば大丈夫。人として向き合うことが出来れば技術なんぞはしっかりあとからついてくるもんです。全部やって確かめればいいのだ!

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